天文計算を行う上で非常に重要となってくるのが、「日付と時間」です。
まぁ、天文計算だけじゃなく時間という考えは非常に大切で、物理現象を考える上で時間というものは決して外せないものです。
「時間」というものを研究している科学者の方もいらっしゃるでしょうが、ここでは「時間」の本質を考えるのではありません。「暦」という私たちが日常使っている「カレンダー」や「時刻」を考えてみましょうw。
地球は非常に大きな球体である。このため、私たちが爽やかな朝陽を浴びる頃、私達から遠く離れた地球上に居る人は深夜就寝中かもしれませんし、3時のおやつの時間かもしれません。
つまり、地球上の地理的位置によって「地域の時刻」というのが存在していることになります。
■世界時(UT)と日本標準時(JST)
イギリスのグリニッジ天文台(写真)は、経度(基準子午線上)にあります。このグリニッジ天文台の平均太陽時を世界標準の時間(Universal Time)と言います。
では、日本では?UTと同じ時刻で毎日を過ごすのは大変ですよね。日本には日本の時刻があります。これを「日本標準時(Japanese Standard Time: JST)と言います。
もちろん皆さんご存知のように、日本の基準となる子午線は「兵庫県の明石市」にあります。明石市は、東経が走っている都市ですね。明石市を平均太陽が通過する時刻を12時と定めています。
地球は球体で1周あります。また、1日は24時間なので、1時間当たり地球は何度回転するのかというと、
となります。つまり、経度が変わると、1時間の「グリニッジ天文台との時差」が生じます。
日本は東経なので、グリニッジ天文台との時差は、
となり、9時間の時差があります。
日本の方が世界標準時より9時間早いという事です。
■暦表時(ET)と世界時(UT)
さて、上述したようにUTは地球の自転を元に決められた時間です。宇宙を相手にする場合、このUTをそのまま使っても良いものなのでしょうか?
地球は中学、高校の物理でも習ったと思いますが、自転速度は一定不変なものでなく、不規則で複雑なものです。そんな不安定な時間を天文計算に使ってもいいのか?という考えが出てくることは科学の世界では必然で、理論的に一定不変の時間(時刻)が必要となってきました。
このため、天体の事柄を考えるための基準の時間(もしくは単位、秒)を下記のように決定しました。
1900年1月0日のに対応する太陽年の
とする。
■地球力学時(TDT)と太陽系力学時(TDB)と世界時(UT)
しかし、さらに厳密に「時間」というものを決定しようと、1976年国際天文学連合(The International Astronomical Union:IAU)は、
○地球表面上の用途は暦表時(ET)を地球力学時(TDT)に
○ 天文用途には暦表時(ET)を太陽系力学時(TDB)に
置き換えることにしました。
物事を厳密に考えるということは、色々と複雑になるものですねwww。
(続きは後日!)
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