今朝、たった今、ネットでニュースを閲覧していたら以下のような記事が出ていた。
———– 以下ネットからの引用
■ <伊地震予知裁判>日本地震学会会長「強い懸念感じる」
毎日新聞 10月29日(月)20時37分配信
09年のイタリア中部ラクイラの大地震を巡り、地震前に発生のリスクを議論した伊政府の委員会メンバーだった地震学者らが実刑判決を受けた裁判について、日本地震学会の加藤照之会長(東京大教授)は29日、「強い懸念を感じる」などとして判決を批判する声明を出した。
声明では、日本でも地震研究者が国や自治体の防災行政に関わっていることに触れ、「意見表明が刑事責任をもたらす恐れがあれば、研究者は自由にものが言えなくなるか、科学的根拠を欠く意見を表明することになりかねない」と指摘。「長期的に見れば、科学的根拠が不十分な防災対策につながり、社会にとっても大きな損失になる」としている。
ラクイラの大地震では309人が死亡。現地の地裁は、直前の「安全宣言」が犠牲の拡大を招いたとして、過失致死傷罪に問われた地震学者ら7人全員に禁錮6年の判決を言い渡した。【八田浩輔】
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今回のイタリアの裁判について(詳細は知らないが)は、この記事の通りだとすれば、私も強い失望感を抱きました。
もともと地震は、地球誕生間もない頃から起こっている、地球の莫大なエネルギーの解放という至極自然な現象だと考えています。
地球の年齢をご存知でしょうか?科学の世界では、地球の年齢は45~46億年(放射性年代測定による)といわれています。では、人間の歴史は?現代人と同じ仲間だと考えられている新人(クロマニヨン人など)が誕生したのは、たったの20万年前と言われています。
聞いたことがある方がいらっしゃるのではないかと思いますが、「地球カレンダー」というのをご存知でしょうか?参考までにネットにあった画像を掲載しておきます。このカレンダーは、地球が誕生した時点の時刻を1月1日0時0分0秒とし、丁度今現在を限りなく大晦日最後の時刻として表したものです。このカレンダーを見ても、人類の祖先が誕生したのが12月31日14時30分。近代文明の始まりである「産業革命」が起こったのは同日23時59分58秒・・・。
近代科学、それも本格的に地震を研究し始めたのはこのカレンダーに当てはめると一体どのくらいの時間になるのでしょうか。多分、1秒もありません。
地震という地球が誕生してからまもなく始まった自然現象を、地球カレンダー上で1秒も満たない研究時間で「予測」まで行うのは、到底無理なことではないでしょうか。
熱心に地震を研究されている専門家の方もいらっしゃることだと思います。東日本大震災の予兆を検知していた方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、もし将来起こるかもしれない大地震を予知したところで、今の世の中、誰が一体その警告を声を大きくして発することができるのでしょうか。もし、そのような発表を行ったらならば、面白おかしく週刊誌に取り上げられ、その結果、予知を外そうものなら大々的にバッシングを受け「嘘つき」のレッテルを貼られることは、これまでの流れで分かりきっています。
また、予知された地域の方々は経済的な損失を考え、その予知に対して批判的になり、予知が外れたならば損害賠償請求すら起こしかねません。このような状況下で、地震研究を専門とし職業としている方々が起こるか起こらないかわからない地震に対して予知発表ができるのでしょうか。
政府の対応もしかりです。1980年代のバブルが弾けた頃から、大学や専門機関の基礎研究に予算を割くことがためらわれ、2000年に入ってからは、国立大学は独立行政法人化され、研究予算は研究者自らが営業し獲得しなければならないようになりました。このような研究体制下で地震という自然現象に対する予測ができるのでしょうか。
イタリアの地震予知裁判の結果については、専門家や研究者の予算獲得方法や地位に日本とは違いがあるかも知れず、このような判決になったのかも知れません。しかし、この結果がマスコミによって大々的に報道されたことから、日本でも少なからず研究者に対して悪人的な考えを持った方もいらっしゃるでしょう。このことが私にとっては非常に残念に思えてなりません。
地震などの自然災害に関しては、専門家が発表した情報を1つの判断材料と捉え、自らが安全確保に努め判断する環境を整える必要があると考えます。
地震の予知・予測が発表され、実際に起こったら「助かった~」、起こらなかったら「よかった~」という考えを一人ひとりが持ち、将来必ず起こりうるだろう地震に備えることが、地震大国日本で生活する私たちに必要な考えでは無いかと思います。